きものが好き。と書くと成金セレブみたいに聞こえてしまうけれど、誤解のないように。昭和初期のおっかさんをイメージしてね。
次元はぜーーんぜん違うけど、節子・クロソフスカ・ド・ローラさんみたいに日常着として気軽に着れたらいいなあ、と本当は思う。きものは気分がしゃきっとするし、立ち振る舞いも自然と美しくなるし。でも現実はきびしい。節子さんのように、ヨーロッパのお城に住んでコックを連れてバカンスに出かける身分ならきもので庭仕事をして泥がついても、すぐに日本の職人に送って洗いばりをしてもらえるだろう。そして「今度日本に帰国した際には銀座の○○○さんで帯締めを求め、京都の長襦袢屋○○○さんで翡翠色のものをあつらえてみたいと思っております」などと言える。しかし、現実世界、しかも呉服屋が近くにない外国に住む私の場合は自分で洗えるきものであることが条件で、本来ならきものの丈にあわせてあつらえる襦袢もいちいち作れるわけがないので、袖や襟をテープやスナップで長さ調節できるものが必要となる。ちなみにポリエステルのきものだと数千円から売ってるのだ。普通の洋服と同じ感覚でそろえられるよ。
きものとの出会いは、アメリカに引っ越すことが決まったとき、一人できものや浴衣が着れないと困るという理由で通った着付け教室だった。習っている間は自然と練習ついでにきもので過ごす時間が多くなった。地味な柄のカジュアルきものに半幅帯で近所の小さな商店街にかいものかごをさげていったり、桜色の帯揚げを選んで花見に行ったり、紬で普通に家事をした。きものでたすきがけをすると何だか気合いが入ってはかどるから不思議。寒い台所でもあったかく過ごせるのもいいところだった。住んでいたアパートが城下町仙台の、しかも昭和のにおいプンプンの古い純和風だったので、自分が戦前のおっかさんになったみたいな気がしたものだ。
その頃に着始めたのが、これ。
現在ではおばあちゃんたちだけが愛用していると思われるガーゼ寝間着。この柄、懐かしい感じでしょ?長年着ているのでクタクタになってるけど、使うほど柔らかくなじむ。ダンナもこの着心地にすっかりファンになり、二人そろって何年も使ってる。興味があるという奇特な方は、スーパーの「肌着売り場」へどうぞ。ランジェリーショップではまず売ってません‥‥